こんな展示、アリ?「鵜飼雅樹展 絵画の手触り-マチエール考-」(堂本印象美術館)

12月12日、堂本印象美術館で内覧会が行われた。  


堂本印象美術館 堂本兄弟展 同時開催
京都現代作家展9鵜飼雅樹 絵画の手触り
ーマチエール考ー
2018/12/13(木)~2019/01/27(日)
堂本印象美術館


内覧会では、「鵜飼雅樹 絵画の手触りーマチエール考ー」展の鵜飼先生にも
立ち話でお話を聞くことができた。

一見、まるでメモ書きを壁に貼りまくるように、作品が展示されている。
大きさもバラバラで、中には紙切れのようなものもある。
もちろん、そこに描かれているものが並ではないことは素人でもわかるほどだが。

このドローイング作品の展示方法について、鵜飼先生は、
「きちんとした真っ白な紙を前にすると、妙に緊張してしまって、うまく描けない。」
「すこし黄色味がかった、切れっ端のような感じの紙のほうが描きやすい。」と。

なんて殊勝な方なんだろう。続けて、
「以前、フリマに何枚ものドローイング作品をまとめて出したことがある。
若い娘さんがやってきて、2時間もかかって選んでくれたのが嬉しかった。」と。

その時、フリマ値段で売っていたのだそうだ。・・・またやってくれないだろうか。
それはともかく、

などと仰っていたのに、続く展示室に移ると雰囲気一転。展示された大作の日本画は迫力満点。

やはり芸術家が考えることを理解するのは難しい。
語る言葉を、そのまま言葉通りまともに受けていてはダメなのだ。

本展では、鵜飼先生の初期から最近までの日本画作品9点が展示されている。
そこにはマチエールの変遷も見られる。

特に気にかかったのは、ある作品の中の白い家の窓枠が鉛筆で上書きされていて、
しかもその鉛筆は「B」じゃなくて「H」だったということ。
「削るようにして描いた」と鵜飼先生。

その前に話されていたこと。
「岩絵の具は下になった色を隠す力が強い。」
「一番上の色が強く出る。」
鵜飼先生は悩んだ末、絵の具には大きな粒が必要なのでは、と考え、
「普通、岩絵の具は粒が0.3ミリほどだが、もっと大きな粒状のものをホームセンターで買ってきて、岩絵の具に混ぜて塗ってみた。」
「すると、ざっくりしたマチエールが出来た。」
「狙い通りの作品が出来た。」と語る。

ちなみに、今回の展示作品の一つには
「琵琶湖岸で拾ってきた砂粒を絵の具に使っている」とのこと。
さらにちなみに、「湖南地域の砂は綺麗すぎてダメ」なんだそうだ。

「最近は分厚いマチエールになってきた。」
「いわゆる日本画を鑑賞される方、にとっては違和感があるかも知れない」
「私のドローイング作品と日本画作品とはつながっている。」

「今回ドローイングを千点ほど持ってきて、その中から体力が尽きるほどかかって約300点を選んだ。」
さらに、
「例えれば、北海道の幸福駅に観光客が願い事を書いて貼っていったたくさんの紙(おふだ)のように、
本展ではドローイング作品を、付箋のように壁いっぱいに展示してみた。」
「お客様がどのような反応をしてくれるのか楽しみだ。」
「今回は流動的な展示をしているが、そういうのもアリかな、と思う。」

1月13日(日)に「作品を語る」と題して鵜飼先生の講演が行われる。
「絵画の道具も持ってきたので、実際に描いてみるなどして一緒に楽しみたい。」と鵜飼先生。

滋賀県出身の鵜飼先生は、
「東丘社に入った時は、既に印象先生はいらっしゃらなかった。だから印象先生の影響は受けていないと思っていたが、
ある作品を完成した時、印象先生の作品を観たら、既に70年も前に先生は同じことをやっておられた。
私の中に、知らぬ間に印象先生のDNAが色濃く残っていたことに気づいた。」
「いつも掌の上に乗っていたようだ。」

以上、すべて芸術家の立ち話での言葉。どこまでが本音なのかは各自でご解釈を。(覚え書きのため間違いもあるはずなのでご注意を!)



☆ ドローイング = ドローイングは製図、図面などの意味ももつが、美術用語としては一般に「線画」と訳される。これは線だけで描く絵(ライン・ドローイング)を指すものである。つまり、単色の鉛筆やペン、木炭などで線を引くという行為に重きをおいて描かれた絵を指す。これに対して、絵の具を塗ることに重きをおいた絵をペインティング(painting)という。ドローイングは、しばしば素描やデッサンと同じ意味で用いられることがあるが、これはいずれの画面も単色的であるという点、線的であるという点が、その特徴であるということによる。また、水彩画をウォーター・カラー・ドローイング(water−color−drawing)といって、「ドローイング」として扱う際には、ペインティングは油彩によるものを指すこともある。(徳島県立近代美術館HPより)  


☆ ドローイング = 素描(そびょう、すがき)、デッサン(フランス語: dessin)、ドローイング(英語: drawing)とは、物体の形体、明暗などを平面に描画する美術の制作技法、過程、あるいは作品のこと。これに準ずるものを指す場合もある。 <概要> 一般に、ペン、鉛筆、木炭、パステル、コンテなどが用いられ、輪郭線によって対象の視覚的特徴をつかむことが目的となる。したがって、輪郭線そのものの強弱や太さなどが、主題的となる。対象に見える陰影や固有色、質感、などをハッチングなどによって描き出すこともある。 古代において、線彫や木墨によるデッサンは、呪術的な意味を持っていた。ルネサンス時代には、絵画や彫刻、建築の試作方法として大いに用いられるようになる。また、近代の銅版画やリトグラフの線描や日本の浮世絵の影響を受けた様式も現在では存在する。 日本のデッサンに比べ、西洋のデッサン及び西洋に倣ったデッサンは線的に描く場合であっても、形体表現が基礎に据えられ明暗の表現を尊重し描かれる。これは単に明暗の比例、尺度を写そうとする活動という意味ではなく、線の効果が明暗の表現を担うということである。然れども、古代西洋の絵画は比較的線的である。デッサンは、簡便な絵画の試作・下絵であるだけでなく、絵画の基本的な習熟の手続きとして今日でも尊重される。『デッサンの技法』で著者小磯良平は、非具象や抽象絵画が、具象絵画にとってかわり、その為にデッサンを必要としないと捉える人たちが現れ、デッサンを軽蔑する人たちさえ居るとしている。しかし、ヨーロッパでも日本でも、非具象の第一線で活躍している人たちが皆、自らの若い時代には、デッサンの勉強に打ち込んでいたことを指摘し、デッサンの重要性を説いている。その後、様々な変化があったものの現在でも、デッサンを尊重する流れは続いている。挿絵としてのイラストレーションとは区別される。(ウィキペディアより)  


☆ マチエール = 絵画に関しては、絵の具その他の描画材料のもたらす材質的効果や絵肌を指す。最近はどちらかと言えば、多少ざらざらした粗めの絵肌やその状態をマチエールという言葉で示す場合が多いようだが、油絵の具が手作りだった頃は、均質な絵の具を作ることができるのはメチエ(名人)だけだった訳で、そこから出てきた言葉ということを考えると語義的には魅力的なマチエールというのは、陶器の表面のように滑らかだということかもしれない。(Weblio辞書より)


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