若冲-巧みな描写と大胆構図(細見美術館)

水墨画を一枚観るだけで、若冲の凄さがわかる。
まさに「イッツ・ア・ミラクル」、これぞ若冲ワールド。

美の饗宴 若冲と祈りの美
2019年4月27日(土)~6月16日(日)
細見美術館

大胆で、とんでもない構図なのに、
それを意識させない、とてつもない精緻な技巧。

そんな伊藤若冲の作品が、一挙に18件
今、京都の「細見美術館」で観られます。こんなありがたいことはありません。

さらに言えば、
若冲の展示作品18件の中には
6曲1双の押絵貼(おしえばり)屏風が3件含まれており、
その屏風の1曲1曲が1枚1枚の掛け軸と同等と考えれば
(この3双で36点になるが、うち6点分は宮崎筠圃(みやざきいんぽ)の書なので、
鶏図を中心に数えれば、)
若冲の作品はこれだけで約30点が展示されているとも言えます。

それに加えて、他にもあと15点の若冲作品が展示されており、
とすれば、若冲作品は計45点の展示、と数えることもできます。

おゃっ、これはいつか観た「動植綵絵」展のときの30点+αと同じくらいの展示数じゃないか。
(あぁ、あの時は猛暑の中、美術館前の境内でフラフラになりながら約3時間並んだものだった。)


と、それはともかく、若冲の作品はどれも、
作品の中に、時間空間を超えて、
何かといろんな物語が詰め込まれているのが面白い。

例えば、彩色の「糸瓜群虫図」
「こんな形のヘチマはないぞぉっ!」という声も聞こえてきそうです。
確かにデフォルメされてはいますが、その描写は実に精密写実です。
がしかし、よく観てみれば、やはり何かがおかしい。
一枚の画の中に、花、小さな実、そして大きな果実のヘチマが一緒に描かれている。
そうだ、同時にこんなことはあり得ない。

それに、ここに描かれている虫たちは、・・何てことだ!
これらの虫が一度に現れることもあり得ないはずだっ。

絵巻物のように、まさに時を超え空を超えている。
また、鶏図や他の作品でも「目」の描き方など特徴的な所が、
作品によって時代によって、描き分けられている。これにも何か理由があるのだろう。


初代 古香庵(細見良)から始まる細見コレクション。

若冲の作品は主に、二代目 古香庵こと細見実(1922~2007)が集めました。

今回の展覧会では、初代 古香庵が蒐集したコレクションからは、
若冲へと繋がる「祈りの美」として、
日本の美によるおもてなしの心を持つ作品、
同館選りすぐりの作品が展示されています。
一部人間の髪も刺繍に使ったという重要文化財「刺繍大日如来像」はじめ、
同「線刻十二尊鏡像」などなど。

4月26日行われた内覧会では、細見美術館上席研究員の岡野智子さんから
各作品について上記のようなことをはじめ、
いろんなお話を解説して頂きました。

5月25日の第45回アートキューブレクチャー
「伊藤若冲筆「糸瓜群虫図」を読み解く」も楽しみです。

「若冲と宗教美術、両者に通じるのは、
表現対象に真摯に向き合い、美に昇華させた
作り手の崇高な精神ではないでしょうか。
自然や神仏への敬意、それを見事に造形化した日本美術の豊かさをご堪能ください。」(細見美術館リリース資料より。)

6月16日(日)まで。


★ 伊藤 若冲(いとう じゃくちゅう)= 正徳6年(1716) – 寛政12年(1800年)は、近世日本の画家の一人。江戸時代中期の京にて活躍した絵師。名は汝鈞(じょきん)、字は景和(けいわ)。初めは春教(しゅんきょう)と号したという記事があるが、その使用例は見出されていない。斗米庵(とべいあん)、米斗翁(べいとおう)、心遠館(しんえんかん)、錦街居士とも号す。写実と想像を巧みに融合させた「奇想の画家」として曾我蕭白、長沢芦雪と並び称せられる。(ウィキペディアより。)

★ 売茶翁(ばいさおう)= 延宝3年(1675) – 宝暦13年(1763)は、江戸時代の黄檗宗の僧。煎茶の中興の祖。本名は柴山元昭、幼名は菊泉。法名は月海で、還俗後は高遊外(こうゆうがい)とも称した。(ウィキペディアより。)
 (相国寺第113世 大典顯常や、伊藤若冲とも親交が深かった。)


★ 宮崎筠圃(みやざきいんぽ)= 享保2(1717)-安永3(1774)。
江戸時代の儒家,画家。名は淳,奇,字は子常,通称は常之進,号は 筠圃,尚友。 18歳のとき京都に出て伊藤東涯,伊藤蘭嵎に儒学を習い,かたわら趙孟 頫 (ちょうもうふ) に私淑して書をよくし,またもっぱら墨竹画を描いて浅井図南,御園意済,山科宗安とともに平安四竹と賞された。(ブリタニカ国際大百科事典より。)
(若冲の「菊花図押絵貼屏風」には彼の揮毫した書が使われている。)


★ 押絵貼屏風(おしえばりびょうぶ)= 屏風の各面(1扇)に紙を貼り、1面ごとに独立した1図とするもの。6曲1双の屏風では右隻・左隻併せて12図で構成される。(細見美術館リリース資料より。)


★ 丹青活手妙通神=あなたのすばらしい絵は神と通じ合っている!と売茶翁。
 市井の画家がたどりついた画境の凄みに感服したゆえであったろう。
 独学の画家ゆえに到達した若冲絵画の真の極みに、
 売茶翁の当代屈指の漢詩人としての精神が感応したのである。(狩野博幸「若冲」より。)
(たんせいかっしゅのみょうかみにつうず)(丹青活手の妙、神に通ず)


★ 動植綵絵(どうしょく さいえ)= 近世日本の画家・伊藤若冲の代表作の一つ。江戸時代中期にあたる宝暦7年頃(1757年)から明和3年(1766年)頃にかけての時期に制作された、30幅からなる日本画であり、動植物を描いた彩色画。三の丸尚蔵館蔵。 (ウィキペディアより。)
 (42歳ごろから描き始め、50歳で24幅を相国寺へ寄進、55歳で30幅の寄進を終える。)


★ = エイ、み(ちる)。満ち溢れること。

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