長刀鉾のあのなぎなたの本物が初登場「京(みやこ)のかたな」展(京都国立博物館)

特別展「京(みやこ)のかたな  匠のわざと雅のこころ」公式サイト2018年9月29日(土)〜11月25日(日)京都国立博物館  国宝・重文の「名刀」がずらり、さらに祇園祭の長刀鉾(なぎなたほこ)の先に飾られる「長刀」が、しかも現存する最古の本物が、同展で展示されることは既にレポートしたが、この長刀に関する問い合わせがあまりに多かったせいか、7月2日、プレス発表会が再び行われた。   平安時代の869年、疫病邪気の退散を祈願して「祇園御霊会(ぎおんごりょうえ)」として始まった今の祇園祭は、毎年7月始めから神事が行われる。 やがて山鉾建て宵山(よいやま、前夜祭の意。前祭=さきまつり:7月14日 – 16日、後祭=あとまつり:7月21日 – 23日)、山鉾巡行(前祭:7月17日、後祭:7月24日)など1ヶ月続く。   山鉾はその装飾が「動く美術館」とも言われ、祇園祭は世界に誇る京都文化のひとつ。 が、天災人災経年劣化などにより、修復復元は当然のこと。 しかし、そこは京都、並大抵の修復でないことは言うまでもない。いずれも当初以上に素晴らしいものに蘇っている、と思う。   地上25mの高さに飾られる長刀鉾のなぎなたは、今は安全を配慮して竹製である。そりゃそうだ。本物だったら気が気でならない。何せ1m以上もあるのだから。   このほど確認された長刀は、刀鍛冶・長吉(ながよし)が1522年(大永だいえい2年)6月に造ったもの。 その14年後に起きた「天文法華(てんぶんほっけ)の乱」で略奪にあうも、さらにその1年後の1537年、助長(すけなが=刀鍛冶・石堂派の祖)が見つけ買い戻して感神院(八坂神社)に奉納した、と長刀の茎(なかご)(刀の柄の内部に入る部分)の銘に刻まれていた。   焼き入れはされておらず、つまり刃はつけてなくて、最初から鉾の象徴「鉾頭(ほこがしら)」として造られたものだった。   長刀鉾保存会では箱に入れたまま祇園祭の際いつも会所で飾っているだけだったので、めったに実物を見ることはできなかった。最近開封されたのは10年以上前とのこと。京都国立博物館の末兼主任研究員らの今回の調査で、やっと実態が分かった。   9月29日(土)から始まる特別展「京(みやこ)のかたな  匠のわざと雅のこころ」で、この長刀は展示される。  

上から、長刀(全図)、長刀(茎表)、長刀(茎裏) いずれも長刀鉾保存会所蔵。 (全長 147.0㎝、刃渡り 114.1㎝)


☆ (なかご) 刀の柄の内部に入る部分。


☆ 茎(なかご)のに書いてある文字 
・作者名=「平安城住三条長吉作」 
・切付銘=「去年日蓮衆退治之時分捕仁仕候於買留申 奉寄附感神院江所也 願主江●刕(刀が3つ)石塔寺」

☆ 茎(なかご)のに書いてある文字 
・年記=「大永二年六月三日」 
・切付銘=「之麓住鍛冶左衛門太郎助長 敬白 天文六丁西歳六月七日」

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