pre 芭蕉直筆の挿絵入り『野ざらし紀行』図巻 発見! 今秋一般展示へ

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松尾芭蕉が挿絵も自筆した図巻が、このほど半世紀ぶりに発見され、
5月24日、嵯峨嵐山文化館・福田美術館で記者発表会が行われた。


まず岡田秀之福田美術館学芸員が、発見された経緯や真贋の鑑定などについて説明した。

 
「芭蕉41歳の時(1684、『奥の細道』の5年前)、旅の体験を著した『野ざらし紀行』は、
 江戸から京都、奈良などを訪れた旅をもとに残した、芭蕉初めての紀行文」

「直筆のものは、これまで2冊あるとされ、
 俳句だけをしたためた1冊は奈良県の天理大学の附属図書館に保管されているが、
 挿絵が入ったもう1冊は、長い間、所在がわからなくなっていた」

「昨秋、大阪の美術商から福田美術館に情報が寄せられ、
 専門家に鑑定を依頼した結果、筆跡から直筆の本物だと確認された」

「保存状態が非常に良く、色も鮮やかに残されている」
 

俳諧の研究者で、鑑定にあたった関西大学の藤田真一名誉教授は、
「なぜ本物と見られるか」概説を述べた。

  
1 筆跡鑑定(1686~87の他の自筆に相応する)
2 岡田利兵衛著『芭蕉の筆跡』(1968)
3 弥吉菅一著『芭蕉「野ざらし紀行」の研究』(1987)
4 図録・『芭蕉の筆跡』『図説日本の古典 芭蕉・蕪村』(1978)『芭蕉全図譜』(1993)
5 濁子(じょくし)写本の芭蕉自筆奥書
 などの参考資料を使って、藤田名誉教授は解説した。

また、
「この時代の同種の作品に見られる、いわゆるプロの画家、
 例えば与謝蕪村の挿絵と比べれば、
 デッサンなどはそれほどうまいとはいえない芭蕉が、なぜ直筆の絵を挿入したのか」

「色遣いや、文章や句と絵の配置、組み合わせ、リズムは、非常に優れている」

「杉風に絵を学んだらしい」

「芭蕉がいなければ、俳句は400年続かなかった」

「今回発見された本作は、俳句と文章と絵の関係など、
 今後、芭蕉の研究を進めるうえで大きな課題を生み出した」

「図録の写真を見てるだけではわからないことも、
 現物を見ると理解できる事がある」

 などと本作発見の意義を述べた。

☆ 本作品の箱書きには「甲子吟行」とある。
☆ 図巻の序文は山口素堂が記している。

<今回の発見により、この挿絵入り『野ざらし紀行』図巻は、「福田本」と呼ばれる。>


<画像は左上から始まり、各段左から右への順。>



企画展「芭蕉と蕪村/蕪村と若冲」

2022年10月22日(土)~2023年1月9日(月・祝)

福田美術館嵯峨嵐山文化館



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